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閉鎖空間のSNS以外で、読書メインのやっつけブログを2010年開設→12日間で無残にも放置→2011年311から3ヶ月を契機に「原発事故考察」の為に復活。 読了日記は自分の備忘録の為、ネタバレ満載ご容赦!


by akane-kmj
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著者:古川日出男
ISBN978-4-08-746233-3 集英社ふ23-3 \400+税
2007年11月25日第1刷発行版
2004年10月刊行本の文庫化
☆☆☆☆
   
前出「僕たちは・・・」を文字で奏でるバラッドとするなら
こちらは正真正銘の和製ロックンロール。
和製と言ったからといって、決してコケにしているのではなく
本場の洋モノロックとは比べられない、
日本の風土だからこそ生まれる、
魂の、叫びではなくつぶやき。
でも、握り拳でつぶやく、和製ロック。
短編集という言葉では無理がある、2ページの作品もあり
文庫のカバー裏解説にあるように「掌編集」。

「僕たちは・・・」を読み終わったばかりの、
研ぎ澄まされた(筈の)五感で味わいたくなっての、
再読です。

こちら、要約は一部のみ。



以下、ネタバレを嫌う方は読むのをお控えください。



『ラブ1からラブ3』
別れてしまったけれどなかなか気が合う相手だった元恋人への
失われた愛の証として「妖精」の存在証明に挑む。入念な準備と計画、
そして律儀なまでの計画の遂行。

『あたしはあたしの映像のなかにいる』

『静かな歌』

『オトヤ君』
天才児:千葉於莵弥は、合理的な母親の「ありえないわ」という言葉に、
その天才を黙殺され、ベビーカーの視点を超えられないのもやむなしとし、やがて・・・。

『夏が、空に、泳いで』

『台場国、立つ』

『ショッパーズ
 あるいはホッパーズ
 あるいは君のレプリカ』

『小さな光の場所』

『鳥男の恐怖』

『光の速度で祈っている』

『アルパカ計画』

『雨』

『アンケート』

『ベイビー・バスト、ベイビー・ブーム
 悪いシミュレーション』

『天使編』

『さよなら神さま』

『僕は音楽を聞きながら死ぬ』
強烈な愛情で結ばれていた妻が「音楽が聞こえる」と言いいながら病死したあと、
”僕が住んでいるから無人島ではない無人島”で隠遁生活を送っていた男の前に、
墜落した飛行機の積荷の数千枚のCDが。
男には再生装置など必要なく、ライナーノーツだけを読んで音楽を想像し、
幻聴として音楽を捉え、再生する。

『生春巻占い』
(べ)=ベトナム料理、それも、生春巻を食べた日は、
人語を話す猫の夢を見ることに、ある日気づき、
その日は生春巻を自覚的に食し、
そして、《大猫さま》に会う。

『ロックンロール中華街
ロックンローラーと、メンバーAとBとCとDと、スタッフαとβは、
全国三都市ホール・ツアーが成功したお祝いに、
憧れの中華テーブルを前にフカヒレ桃源郷にいるような”三昧の境地”で・・・・・

** 要約メモは、おって書くものもあります。
# by akane-kmj | 2010-01-12 00:00 | 読了:文芸その他
著者:古川日出男
ISBN978-4-04-363606-8 角川文庫ふ18-6 \476+税
2009年11月25日第1刷発行版
2006年11月刊行本の文庫化
抒情詩のような一篇☆☆☆☆


   
大人のファンタジーとでもいうか、「絵のない絵本」のような、
文字で描いたパステル画、
またはロックな古川文体から考えると、
文字で奏でるバラッド。

このホンは要約不可、というかすべきではない。
読者は持てる五感を駆使して古川ワールドを堪能するのみ。
# by akane-kmj | 2010-01-10 00:00 | 読了:文芸その他
著者:奥田英朗
(上)ISBN978-4-04-386001-2 角川文庫お56-1 \552+税
(下)ISBN978-4-04-386002-9 角川文庫お56-2 \514+税
平成19年年8月31日初版発行版
2005年6月角川書店刊行本の分冊文庫化
映画になっただけはあります☆☆☆
   

前日読み終えた短編集『ガール』が、思いのほか軽めのものだったので、
あれ?奥田英朗って、こんな感じだっけ?と、どうにも納得行かず、
以前読んだ(筈)の『サウスバウンド』を開いたら、
さすが、一気読みさせるエンターテインメント作家・・・
読みながら思い出しつつ、最後はどうなったっけ?と
ついつい読んでしまいました(笑)

どうしたことか、年初に読んだ数冊、申し合わせたように物語の核に「12歳」の子どもが据えられています。






以下、ネタバレを嫌う方は読むのをお控えください。



元過激派の父=上原一郎に翻弄される12歳の息子=上原二郎・・・といっても、
父は60年代後半~70年代前半の「あの全共闘時代」の闘士ではないという設定が、
奥田らしい「軽妙で痛快」な語りに生かされていて
「なんとなく沖縄問題」や「なんとなく環境問題」などなど、
それなりの主張はありながらも、豪放磊落な展開を見せて
最後は、奥田英朗って良い人なんだろうなぁと、ちゃんと思わせてくれる内容とオチ。

都心、中野ブロードウェイを通学路にする二郎が、親の因果が子に報いとばかり、
トイレが汲み取り式の沖縄の離島に一家で移り住むまでの、
元過激派を父に持つ家族のドタバタ劇の第一部と、
沖縄の離島に引っ越してまでゴタゴタに巻き込まれる父の業に、
やはり付き合わされてウンザリしながらも、
全く別な目で父を母を姉を見つめなおして、家族が家族として機能して行く様を描ききった第二部。

第一部には、子どもが大人の事情に振りまわされながらも
「子どもの事情」でしか対応できないことへのジレンマなどが
12歳目線で描かれていて、そのあたり秀逸。
ただ、最近、どういうわけか「12歳」が登場する小説を続けて読んでいるため、
つい比較してしまい、奥田英朗の描く12歳は、残念ながらやや幼く感じてしまった。
人によってフィールドが違うのだから、これはやむなしかもしれないが、
世の大人が信じて疑わない12歳の枠、そこに無理に押し込めないでもいいのではないかと思う。

たいへん読みやすく、映画の絵なども自然に浮かぶホンなので、
息抜きとして痛快な思いに浸りたい時・人向き。
# by akane-kmj | 2010-01-06 15:00 | 読了:ファンタジー/冒険

読了2010-004 ガール

著者:奥田英朗
ISBN978-4-06-276243-4 講談社文庫お84-6 \552+税

2009年1月15日第1刷発行版
2006年1月講談社刊行本の文庫化
フェミニスト奥田は好きですが・・・☆☆
   
働く女性、しかもだいたい中堅どころ(年の頃30歳以上50歳未満)が主人公
というお話を中心にした短編集。
作品は、
『ヒロくん』『マンション』そして表題作『ガール』
『ワーキング・マザー』『ひと回り』と、5篇。
文庫裏表紙には
[働く女子の気持ちをありえないほど書き込み、話題騒然となった云々]
とあり、また、解説の吉田伸子氏も、
[うわっ、完璧!]と1行目に書いていますが、
私はひねているのか、どうしてもそんなふうには読めなかったわけで。

周辺にそう見て貰いたいという「女子」に阿った、
そう、確かに「女子心」を軽くくすぐられる軽くて読みやすい
でもその分、底の浅さが垣間見えてしまう作品群。

作者と私は、多分、干支でひと回り近く違うと思われますが、
見事に、その「世代の感性の違い」を表出しているなぁと。

さてさて、私と同世代の「働く女性」のご意見を伺いたいものです。




以下、ネタバレを嫌う方は読むのをお控えください。



『ヒロくん』


『マンション』


『ガール』


『ワーキング・マザー』


『ひと回り』

** 以上の要約メモは、おって書きます。
# by akane-kmj | 2010-01-04 15:00 | 読了:文芸その他
著者:海堂 尊
(上)ISBN978-4-7966-6161-4 宝島社文庫599 \476+税
(下)ISBN978-4-7966-6163-8 宝島社文庫600 \476+税
2007年11月26日第1刷、2008年1月10日第4刷発行版
2006年2月宝島社刊行本の文庫化
さすが「このミス」大賞!☆☆☆☆
   

大好きな医療モノ。著者は現役の勤務医。
しかも、外れのない「このミス」大賞作品。
ということで、たいへん面白く読めました。
2006年の「このミス大賞」なので、
噂の・・・、というにはずいぶん年月が流れてしまいましたが、
私にとってはこれが初の海堂作品ですし、
おまけにこれが海堂氏のデビュー作というのですから、
楽しみが一つ増えたお得感を味わっています。

この作品、上下巻とはいうものの、上下あわせても
京極夏彦の『鉄鼠』の半分にも満たない分量で、
医療分野の専門的なことも非常に解りやすく描写されているため
ミステリー好きな方なら、夕方から深夜にかけて一気に読み終えることと思います。




以下、ネタバレを嫌う方は読むのをお控えください。



舞台は国立大学の独立行政法人化の嵐がひとしきり吹き荒れて、
「それなり」の構造改革が粛々と進められているかに見える、
東城大学医学部付属病院。

世間的には医療過誤問題をめぐって医療の透明性を求める機運が高まり、
国立大学付属病院などをひとつのモデルケースとして
リスクマネージメント委員会などと命名された内部組織が稼動し始めた頃。
そのような審査機関は内部組織にとどまらず、第三者機関の必要性なども叫ばれ、
同時に、長くくすぶる、日本における臓器移植問題も再燃しかけていた、
誰もが、なんとなく「ああ、あの頃ね。」と頷く、数年前が設定されている。

小説内での表記では、
バブル絶頂のイケイケガンガンが持て囃された時代から、
つまりは、「ジュリアナのお立ち台」時代から、およそ17年経過した頃
ということ。

大学病院の構造改革とは言っても、そこはそれ、
大学病院;白亜の巨塔に未練タップリの、権力志向の強い方々が
まだまだ大勢いる中で、
タヌキを想像させる風貌と、つかみ所のない「おとぼけ発言」ながらも
深く広い人脈を用いるなど、なかなかの政治手腕を示す高階病院長から、
ある「特命」を受けてしまうのが、通称「愚痴外来」で
のんびり不定愁訴患者を相手にしていた医者:田口という主人公。

病院内の権力闘争とは無縁な田口が拝命したその特命とは、
この病院の外科の、安っぽい言葉で言うと「セールスポイント」であり、
世間からはパーフェクトと賞賛されるスタッフチームによる
通称バチスタ式と呼ばれる特殊な術式の心臓手術における、
相次ぐ不審な「術死」の内部調査。

パーフェクトであるはずのチーム・バチスタにおける連続した術死は
果たして医療過誤か、あるいは偶然か、はたまた事件性が潜んでいるのか?

田口医師にとってはそれでなくとも鬱陶しい、権力志向の強い面々を相手の院内調査に
ややこしいことに、強烈なキャラクターを持ち合わせる厚生省役人の
白鳥(この名前はキャラとは正反対で、作者のお茶目度が現れている)
が準主役で絡み、論理的という表現とは裏腹なドタバタ調査が
面白おかしく、しかし緊張感タップリに進められ---
やがて、全容が明らかになってゆく。

医者の正義、医者に期待されること、期待される側のその重圧感、
そして日本の医療システムが抱える本質的な「デタラメさ」など、
単に面白い医療ミステリーものという範疇を超えて、迫るものがあるとしたら
この作者が現役の医者で、彼もまた悩み、人格が壊れそうになるハードワークの中
常に解決への模索を続けているからだろうと、生意気ながらそう思える。
# by akane-kmj | 2010-01-03 22:00 | 読了:ミステリー/探偵/刑事